ソク家のブログ

二ノ宮香衣の書く韓国ドラマ≪宮≫から誕生したオリジナルキャラクター一家の日常を描くスピンオフ作品です。

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《ノ・ニジェの記憶》
チュンハに叩き起こされてすぐにジェホンから電話があった。
もうそのテンパり具合っていたら……。

「いいから落ち着いて。いい?まだまだ生まれないわ。妃宮ちゃまを思い出してみなさい。陣痛が始まってから半日近くかかったでしょ?大丈夫、まだ生まれないから。」

ウンジョンとジェホンの迎えをチュンハに任せ、私は病院に向かい準備をした。

「……いよいよジェホンがパパ、か……。」


《ウンジョンの記憶》
間隔はまだある。
私よりも慌てているジェホンさんに呆れながら、でも逆に私が冷静にならなきゃって落ち着いていられた。

「いよいよだね……。無事に生まれ来てね……。」

どんな子かしら?
ジェホンさんに似てるかな?
男の子?女の子?

ワクワクする……。
早く会いたい……。

痛みの波が来ても、そんな事を思えばまだ耐えられた。


チュンハさんが来てくれて、病院まで向かう。

病院ではニジェ女医様が待っていてくれた。

「いよいよよ、頑張って。」
「はい、ニジェ女医様、お願いします。」


今のうちにとシャワーを浴び、これからに備えて軽く食事もした。




次第に間隔も短くなり、痛みも強くなった。

ジェホンさん、お願い、このまま側にいて……。
でも……。
ジェホンさんは立ち合い出産を拒み続けていた。
ジェホンさんが握っていてくれる右手、離さなきゃ……。


《ノ・ニジェ女医の記憶》
子宮口全開。
「もう生まれるわ。ジェホン、ウンジョンを産室に連れて行くわね。」
そう言うと意外な言葉が返ってきた。
「ふざけんなっ!!!ウンジョンに苦しい思いさせられるかっ!!!俺が行く!!!俺がウンジョンの代わりに産む!!!」
……あんたが代わりにって……(´д`|||)。
この男、なに考えてんの?!

「ジェホンさん、私、大丈夫よ。行ってくるね。」
「ウンジョン……。」
彼女は立ち合い出産を希望してたけど、頑なに拒み続けたジェホンを説得することは出来なかった。

「………行く。」
「「……えっ(;゜∇゜)?!」」
「俺も行く!!」
「……ジェホンさん……(//∇//)。」
あの時のウンジョンの嬉しそうな顔。

あなた、本当にどこまでもジェホンが好きなのね?

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《ハン・ジヌンの記憶》
殿下に呼ばれたのは午前4:00少し前。

殿下の寝室に行くと殿下は携帯で電話をしながらメモを取り、俺を手招きした。
相変わらず忙しい人だ。

近寄るとメモをこちらに向けた。
《ジェホンが生まれる》

「…………。」
殿下、お言葉ですが………。
ジェホンはもう随分前に生まれています。

そう心の中で突っ込みながら俺はチュンハに連絡した。

実は俺とチュンハの間で話し合いがついていたのだ。
絶対にジェホンはパニックになって車の運転なんて危険だろうから、俺がいないときはチュンハがチョン内人を病院へと送る、と……。
そのことは殿下にも話してあった。

殿下はジェホンにニジェに電話をしてチョン内人の状態を報告し、それから入院の荷物をもう一度確認するようにジェホンに伝えている。


「チュンハ、悪いな、こんな時間に。いよいよらしいぞ。」
『お、いよいよ生まれるか?おい、ニジェ、電話来るぞ。』
都合のいいことに産婦人科医が一緒にいるらしい。
電話の向こうで起こされて不機嫌なニジェの声がする。
『電話って…どこからよぉ?!』
『ジェホンのとこだ。』
『ジェホン~?誰それ………。えっ?ジェホン?!ジェホンってジェホンが生まれるのぉ?!』
ここにもまた一人いた。

だからジェホンはもうとっくの昔に生まれてるって……。


こちらが電話を切るのと、殿下が電話を切るはほぼ同時だった。

電話を切り二人でニヤリと笑った。


「ジェホンが……父親か……。」
「アイツに似てなきゃいいが……。」
「頼んだぞ。」
「はい、見届けて来ます。」

俺はソウルに向け車を走らせた。


「ジェホンが父親か………。」

笑いが込み上げて来た。

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《ウンジョンの記憶》
3月7日。
まだ陽が昇る前。
お腹に痛みを感じて目を覚ました。

それからしばらくは一人で耐えていたけど……。

「……ジェホンさん……。ねぇ、ジェホンさん……。」
「………ん?」
「お腹……痛いの……。生まれるかも……。」
「………ん?生まれるのか?」
「うん。」
それから一瞬だけ間があって……。
ジェホンさんは飛び起きた。

そして徐に電話をかけた。



《皇太弟イ・シンの記憶》
チェギョンが第二子を出産して、ヒョリンが第一子を出産した。
残すはジェホンのところだけだ。

僕はその日公務で光州市に泊まっていた。

なんとなく……昨日あたりジェホンから出産の報告があるような気がしていたものだからちょっとガッカリした気持ちでベッドに入った。

夢の中でまだきちんと触れ合うことも出来ていない第二子セナを抱き上げた瞬間。
僕は現実世界へと引き戻された。

眠い目を擦り携帯を取る。
電話の向こうで慌てたジェホンが言う。
『ウ、ウ、ウンジョンが産むって……!!!!!』
「そうか。で、今、病院か?」
『家だ!!!お、俺……どうすりゃいいんだ?!』
完全にパニックに陥っているようだ。
「ジェホン、落ち着け。まずは深呼吸だ。深呼吸を5回しろ。」
そうさせておいて僕は副室に内線をかけてジヌンを呼んだ。

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