《ノ・ニジェの記憶》
チュンハに叩き起こされてすぐにジェホンから電話があった。
もうそのテンパり具合っていたら……。
「いいから落ち着いて。いい?まだまだ生まれないわ。妃宮ちゃまを思い出してみなさい。陣痛が始まってから半日近くかかったでしょ?大丈夫、まだ生まれないから。」
ウンジョンとジェホンの迎えをチュンハに任せ、私は病院に向かい準備をした。
「……いよいよジェホンがパパ、か……。」
《ウンジョンの記憶》
間隔はまだある。
私よりも慌てているジェホンさんに呆れながら、でも逆に私が冷静にならなきゃって落ち着いていられた。
「いよいよだね……。無事に生まれ来てね……。」
どんな子かしら?
ジェホンさんに似てるかな?
男の子?女の子?
ワクワクする……。
早く会いたい……。
痛みの波が来ても、そんな事を思えばまだ耐えられた。
チュンハさんが来てくれて、病院まで向かう。
病院ではニジェ女医様が待っていてくれた。
「いよいよよ、頑張って。」
「はい、ニジェ女医様、お願いします。」
今のうちにとシャワーを浴び、これからに備えて軽く食事もした。
次第に間隔も短くなり、痛みも強くなった。
ジェホンさん、お願い、このまま側にいて……。
でも……。
ジェホンさんは立ち合い出産を拒み続けていた。
ジェホンさんが握っていてくれる右手、離さなきゃ……。
《ノ・ニジェ女医の記憶》
子宮口全開。
「もう生まれるわ。ジェホン、ウンジョンを産室に連れて行くわね。」
そう言うと意外な言葉が返ってきた。
「ふざけんなっ!!!ウンジョンに苦しい思いさせられるかっ!!!俺が行く!!!俺がウンジョンの代わりに産む!!!」
……あんたが代わりにって……(´д`|||)。
この男、なに考えてんの?!
「ジェホンさん、私、大丈夫よ。行ってくるね。」
「ウンジョン……。」
彼女は立ち合い出産を希望してたけど、頑なに拒み続けたジェホンを説得することは出来なかった。
「………行く。」
「「……えっ(;゜∇゜)?!」」
「俺も行く!!」
「……ジェホンさん……(//∇//)。」
あの時のウンジョンの嬉しそうな顔。
あなた、本当にどこまでもジェホンが好きなのね?